しかし相手がまったく見えません。
わかっているのは「放送部」に圧力をかけられる者、ということくらい。
バリトンくんが、放送委員長をあたってくれましたが、原稿を書いた人間は「匿名」のまま。
手がかりはまったくなし。
あとは「一中出身者」ということです。
もともと「お稲荷さんに近寄らせない怪談」を作ったのは、原爆ばあさんであることに、ほぼ間違いありません。
それが逆に、不良生徒の溜まり場をつくるのに利用されてしまったのは、まったくの皮肉でした。
しかも、それが、彼らの動きを見えにくく、わかりにくいものにしてしまいました。
もしそこまで計ったのだとすれば、グレート井上くんが言うように、たいへんな知能犯です。
でも、なぜお稲荷さんなのでしょう?
「なにか理由があるはず・・・」。
確かに見つからずに喫煙するには、かっこうの場所なのですが。
「ひとつはコックリさんだろ」。
と、森田くん。
コックリさんは、一般的には動物霊。それも狐狗狸さんと書くように、狐の霊である、というのが一般的でした。
このため、帰りの「鳥居」を書きますが、それがお稲荷さんである、と、されていました。
「キープできるんじゃないか?」
グレート井上くんは、別な観点から入ります。
「キープ?」
「そう。建物があるからね。どっかにタバコ、隠しておけるんだろ」。
「なるほど・・・・」。
そう考えれば実に都合のいい場所です。
そして、主犯格は。
僕たちが、あそこを掃除させられたのを知っている者。
それ以外になにも見えません。
「張り込む?」
と、麻生くん。
「いや。張り込みは読んでいるとみた。思うツボだろうな」。
と、グレート井上くん。
僕もそう思いました。
たぶん、張り込みをした者から、ひきずりこまれて血祭りです。
「とりあえず、主犯格からあぶりだそう」。
「え?そんなことできんのか?」
「できるさ」。
「おお!なんかたよりになる!」
「『たよりがないは無事だと思え』っつぅくらいだもんな!」
たよりがちがう・・・。
そこで、学校から近い順に、家にもどってもらい、
「リコーダー、持って来てくれた?」
「持って来たけど・・・」
「俺、リコーダー、苦手なんですけど」
「俺も。アマリリスで20点だった」。
「いまさらリコーダーのテストしないから」。
ではなにか?と、言いますと
「『笛を吹く少年』をやるんだよ」
「わかった!偽の合図を送るってこと?」
「ちがうちがう。それじゃ相手に見えるだろ?張り込みと同レベルだって」
「あ。そうかぁ」。
「そうじゃなくって・・・」
僕が作戦を説明しようとしましたが、
「西条!なに人の笛、舐めてんだよっ!」
「え?井上のリコーダーさぁ。妹の名前書いてあんだもん」。
「あーーーーーーー!」
「うそ!マジ?西条!」
「お、俺にも貸せ!」
「貸せるかぁ!」
「やめろーーーー!おまえらーーーーーー!」
グレート井上くん。大失態。
妹、夕子ちゃんの笛を持って来てしまったようです・・・。
このため、しばらく笛の争奪戦が繰り広げられ、作戦は大幅に遅延。
「ケチだな。井上は」
「やかましいっ!」
おかげで、笛の加工が終わったのは、夕方すぎ。
「早くしろ!工藤先生、帰っちゃうぞ!」
そうです。
ターゲットはこの前僕たちに濡れ衣を着せた工藤先生。
僕たちが見つけられないのなら、先生に見つけてもらえばいいのです。
「とりつけた?麻生」
「ああ。バッチリだ!」
僕たちは、工藤先生の車、レオーネのタイヤの裏側にリコーダーの加工した口部分4本を装着。
ある程度の速度が出ると、風圧で笛が鳴るようにしたのです。
「あはははは。早く走んないかなぁ」
「こんなんで割り出せるのか?」
「さぁ・・・・『笛を吹く少年』の放送直後だからな。けっこう怒ると思うよ」
あの先生のことですから、ただでは済ませません。
おそらく怪談特集は禁止。それだけでもじゅうぶんですが、
「絶対犯人をつきとめようとする」。
そして候補は、必ず3年から出る、と、僕は踏んでいました。
もし、それなりの知能犯であるなら、すでに工藤先生のブラックリストには入っているはずだからです。
以前、僕たちが、工藤先生のナンバープレートにエログラビアを貼った時も、疑われたのは、僕たちではなく、上級生からでした。
なにしろ僕たちはまだ「新入生」。当然です。
「たぶん、放送の関連から当たると思うんだけどなぁ。僕が先生ならそうする」
「シッ!来た!工藤だ!」
僕たちがかたずを飲み込んで見守る中。
バン!
工藤先生はなにも知らずに車に乗り込みました。
工藤先生の車は、ゆっくりと走り出し、
やがて
♪ピ~~~~ヨロロ~~~
きわめて奇妙な音色を奏でながら、町中へと消えて行きました。
『笛を吹く中年』作戦、完了!
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バリトンくんが、放送委員長をあたってくれましたが、原稿を書いた人間は「匿名」のまま。
手がかりはまったくなし。
あとは「一中出身者」ということです。
もともと「お稲荷さんに近寄らせない怪談」を作ったのは、原爆ばあさんであることに、ほぼ間違いありません。
それが逆に、不良生徒の溜まり場をつくるのに利用されてしまったのは、まったくの皮肉でした。
しかも、それが、彼らの動きを見えにくく、わかりにくいものにしてしまいました。
もしそこまで計ったのだとすれば、グレート井上くんが言うように、たいへんな知能犯です。
でも、なぜお稲荷さんなのでしょう?
「なにか理由があるはず・・・」。
確かに見つからずに喫煙するには、かっこうの場所なのですが。
「ひとつはコックリさんだろ」。
と、森田くん。
コックリさんは、一般的には動物霊。それも狐狗狸さんと書くように、狐の霊である、というのが一般的でした。
このため、帰りの「鳥居」を書きますが、それがお稲荷さんである、と、されていました。
「キープできるんじゃないか?」
グレート井上くんは、別な観点から入ります。
「キープ?」
「そう。建物があるからね。どっかにタバコ、隠しておけるんだろ」。
「なるほど・・・・」。
そう考えれば実に都合のいい場所です。
そして、主犯格は。
僕たちが、あそこを掃除させられたのを知っている者。
それ以外になにも見えません。
「張り込む?」
と、麻生くん。
「いや。張り込みは読んでいるとみた。思うツボだろうな」。
と、グレート井上くん。
僕もそう思いました。
たぶん、張り込みをした者から、ひきずりこまれて血祭りです。
「とりあえず、主犯格からあぶりだそう」。
「え?そんなことできんのか?」
「できるさ」。
「おお!なんかたよりになる!」
「『たよりがないは無事だと思え』っつぅくらいだもんな!」
たよりがちがう・・・。
そこで、学校から近い順に、家にもどってもらい、
「リコーダー、持って来てくれた?」
「持って来たけど・・・」
「俺、リコーダー、苦手なんですけど」
「俺も。アマリリスで20点だった」。
「いまさらリコーダーのテストしないから」。
ではなにか?と、言いますと
「『笛を吹く少年』をやるんだよ」
「わかった!偽の合図を送るってこと?」
「ちがうちがう。それじゃ相手に見えるだろ?張り込みと同レベルだって」
「あ。そうかぁ」。
「そうじゃなくって・・・」
僕が作戦を説明しようとしましたが、
「西条!なに人の笛、舐めてんだよっ!」
「え?井上のリコーダーさぁ。妹の名前書いてあんだもん」。
「あーーーーーーー!」
「うそ!マジ?西条!」
「お、俺にも貸せ!」
「貸せるかぁ!」
「やめろーーーー!おまえらーーーーーー!」
グレート井上くん。大失態。
妹、夕子ちゃんの笛を持って来てしまったようです・・・。
このため、しばらく笛の争奪戦が繰り広げられ、作戦は大幅に遅延。
「ケチだな。井上は」
「やかましいっ!」
おかげで、笛の加工が終わったのは、夕方すぎ。
「早くしろ!工藤先生、帰っちゃうぞ!」
そうです。
ターゲットはこの前僕たちに濡れ衣を着せた工藤先生。
僕たちが見つけられないのなら、先生に見つけてもらえばいいのです。
「とりつけた?麻生」
「ああ。バッチリだ!」
僕たちは、工藤先生の車、レオーネのタイヤの裏側にリコーダーの加工した口部分4本を装着。
ある程度の速度が出ると、風圧で笛が鳴るようにしたのです。
「あはははは。早く走んないかなぁ」
「こんなんで割り出せるのか?」
「さぁ・・・・『笛を吹く少年』の放送直後だからな。けっこう怒ると思うよ」
あの先生のことですから、ただでは済ませません。
おそらく怪談特集は禁止。それだけでもじゅうぶんですが、
「絶対犯人をつきとめようとする」。
そして候補は、必ず3年から出る、と、僕は踏んでいました。
もし、それなりの知能犯であるなら、すでに工藤先生のブラックリストには入っているはずだからです。
以前、僕たちが、工藤先生のナンバープレートにエログラビアを貼った時も、疑われたのは、僕たちではなく、上級生からでした。
なにしろ僕たちはまだ「新入生」。当然です。
「たぶん、放送の関連から当たると思うんだけどなぁ。僕が先生ならそうする」
「シッ!来た!工藤だ!」
僕たちがかたずを飲み込んで見守る中。
バン!
工藤先生はなにも知らずに車に乗り込みました。
工藤先生の車は、ゆっくりと走り出し、
やがて
♪ピ~~~~ヨロロ~~~
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笛を吹く中年とかwww
さすがママチャリくん!
ままちゃりーっ
イタズラをしても疑われない時代があったんですね。ママチャリにも(笑)って新入生だから当たり前か??
でも中学校からブラックリストが高校に行ってたりして…。
中年ですか(笑)
たしかに中年でしょうが(笑)
先が気になります~どうなるの~
続きが気になる~!
秀才な先輩は誰なんでしょうか?
気になるε=ε=┏( ・_・)┛
そしてこの話が終わる頃には真っ先に疑われる地位を確立すると
流石ママチャリくん
ママチャリさん達にとっては先生遊び道具ですね笑笑
なるほどね~。さすが愉快知能犯ママチャリくんだ。
>サボテンさん
一番載り認定~
この『笛を吹く中年』は、実際にやりましたが(こういう目的ではなく)、ある程度速度が出ちゃうと、音が止まっちゃうんですよね。
よくできていました。
だから鳴るのは加速時だけ。
いや~相変わらず極悪明晰頭脳です!
でも違う人から当たる可能性ってないのかしら?
CD欲しいなぁ。今出費が重なってしまいかなり苦しいのでボーナス待ちです!
テスト終わりました!!
やった~
ちょっと怖かったけどやっぱり面白いです~!!
次回はいよいよ犯人がわかるはず。楽しみにしています。
いつそういうことを知ったんですか
しかもみんな手際よくやってる感じですし
>アヤさん
当然ありますね。
でも、必ず主犯格にたどりつけるのです。
まぁ、続き楽しみにしててください。
頭脳vs頭脳
どうなっていくのか
たのしみです
ママチャリ頭ええなあ・・・
僕も頭良くなりたい・・・。
笛を吹く中年・・・わろたwww
先生を利用して上級生をあぶりだすなんて、
よく思いつきますね~~~。
続きを楽しみにしてます♪
今後の展開も気になりますが
西條くんが舐めた夕子ちゃんのリコーダーの
その後が気になります・・・
妹思いのグレート兄だからそのまま返す事は
しないだろうし、熱湯消毒とかするのかな?(^_^;)
グレート井上くんの妹の笛にタカる野郎共…絵が浮かぶ(笑)。
工藤センセのレオーネを利用するとは、アタマいいです。けど、笛と言うよりトンビみたい…。
さすが。ここまでは上級生も読めないでしょ。
まさか先生を使うなんてね。
って、グラビアのいたずらもすごいですね(笑)
今回の作戦も
素晴らしいですね。
ママチャリ君
尊敬します!
夕子ちゃんの笛くれ~~~~!!(笑)
デタリッピ、もといデートリッヒより欲しいな♪
同感ですよね!?
くろわっさん&男性読者の皆さん?(笑)
だんだん核心に近付いて行ってますね
ママチャリのような頭脳の持ち主は果たして誰なんでしょうか(ノ><)ノ
おぉ~!悪辣孔明らしいママチャリくんは、久しぶりの様な気がします。
でも、夕子ちゃんの笛争奪戦には絶対に参加しているはず!!
『笛ふく中年作戦』上手くいくといいですねぇ~。
『下ネタ中年作戦』は全開の様ですが・・・・・・(^.^)
笛を吹く中年かあ…う~ん想像するとなんとも言えない。
一文字でこんなに印象って変わるんですね。笑
例え3年生の頭脳犯と言えどもママチャリにはかなわない♪
相変わらずママチャリの考えることはすごいな
しかも、実際にやったことあるんですね。見たかったな
相変わらずママチャリの考えることはすごいな
しかも、実際にやったことあるんですね。見たかったな
まだみんな疑われるような人間じゃなかったのか
笛を吹く中年…www
一気に怪談じゃなくなるましたね
ドキドキワクワクでした
続きが楽しみです~
その後、笛は回収します?
どれが誰のかわからなくなっちゃったりして。
ぉお
私も笛を吹く役をするのかと思ってました☆
新入生であることを
利用するなんて天才的ですね☆☆☆
くろわっサン、おはようございます
「笛を吹かされてる中年」じゃないですか(笑)
てゆうか、工藤センセには既にイタズラ済みだったんですね
学校相手に仕掛けてたのは、この頃だったのか~
笛を吹く中年…………さすがママチャリです!ネーミングセンスが最高ですねっ(o~-')b
上手くいくのかが心配な僕…
「笛を吹く中年」はいつまで気づかないんでしょうかね笑
犯人を見つけるのに先生を使うとは…
流石です!!
最低な新入生ですね(笑)工藤先生への復讐でもある「笛を吹く中年作戦」成功してほしいです!!
リコーダーのアマリリスのテストやった気がします。
作戦うまくいきますように!!
笛を吹く中年 吹き出しちゃいました
主犯格あぶり出し開始
新入生のころから先生に悪戯仕掛けていたんですね
笛を吹く中年ww
なんかみんなこんな先生だったらいいのになー・・・。。
あはは~
くだらねぇ~。
凄いですねぇ。
普通にやったんならくだらなさの極みな悪戯なのに、これで犯人割り出せるなんて
ママチャリさん、ホントに悪戯だけは天才的ですね。
親の良いトコどりというか悪いトコどりというか……
まぁ、さすがタカさんの息子です。
昔はリコーダーなんてハイカラな言葉使わなかったです。ソプラノ笛、アルト笛でした。
しかしすぐこんないたずらおもいつくなんて…
さすがママチャリ
ほ~
すごい作戦ですね~(´ω`)
笛を吹く中年て…
井上くん大失敗(笑)
犯人とどうやって対決するんだろ楽しみです
あと、昨日かな2年前の昨日にぼくちゅうを作ったんですねおめでとぅございますこれからも楽しみにしてまぁす
わくわくしてきました♪
工藤先生がんばれ~!
リコーダはいい思い出がない(-.-;)
凄く真面目な作戦なのにとってもおもしろいですね!
通勤中のバスで読んでますが、吹き出しそうになりました
そうかぁ。。
その上級生がいなくなったから、もう一番に疑われるようになったんですねママチャリ・・・。
ママチャリくんの本領発揮ですね!
といっても、私の貧弱な脳みそでは、この作戦が
どうやったら先輩のあぶり出しにつながるのかが
さっぱりわからないのですが・・・・・。
それと、工藤先生が、先輩のあぶり出しよりも先に
リコーダーを取り付けた犯人を見つけようとしたり
しないでしょうか?!
>くろわっさん、
43000000Hit、おめでとうございます!
笛を吹く中年・・・( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
地味~~にウケました!
さて真犯人は・・・・?((o( ̄ー ̄)o)) ワクワク
いきなり主犯格を引き摺り出そうとするなんて、ママチャリくんらしいですね~。しかも工藤先生に見付けてもらおうなんて。
イタズラをしても、まだ疑いをかけられない今の内に色んな仕込みをしなきゃいけませんね(*≧m≦)
ひさびさの工藤先生の登場でぐっとノンフェクション感が増してわくわくします。
のびのびさん同様、この作戦が主犯格あぶり出しに繋がるのか、私もイマイチよくわかりません。
ボンクラですいません…
まだ新入生ですし、工藤先生には目をつけられてないんですね。
でも、目をつけられるのも時間の問題かな
笛を吹く中年を想像したら、笑いが止まりません
どうか夕子ちゃんが笛のことに気が付きませんように…!!(笑)
それにしても、ママチャリの洞察力すごいですね!
笛を吹く中年作戦!(笑)
犯人あぶりだすいたずらもさすがだと思いました。
「笛を吹く中年」作戦、良いなぁ~☆
加速時に鳴るリコーダーの音…想像するだけで笑えます…ぷぷぷ(≧ω≦)
先が予測できません
さっすが先輩!(ちがう
笛を吹く中年ていいな~ナイスネーミングです!
43000000ヒットおめでとうございます~
狙ってましたが当たりませんでした
工藤先生の車に笛って、やっぱり凄い考えをしますねママチャリはとってもおもしろいです。
工藤先生の車、
いろいろイタズラに利用されてる笑
笛をふく中年
流石です!!
出たアマリリス!
うちの炊飯器の炊きあがりの音楽ですよ
『笛を吹く中年』…!!
さすがママチャリさんですね。
どうやってここから主犯格にたどりつくんだろう…?
あれ? 笛吹き少年作戦、笛に夕子ちゃんの名前が書いてあるんじゃ…。
笛を吹く中年www
ギャグセンス、たまりませんな~www
軽くホラーで読み進めるのに苦労してましたが、だんだんシリアスになってきましたね・・・・・・・
先が気になります。