ぼくたちと駐在さんの700日戦争

西条くんが戻って来たのは、それからずっとずっと後になってからでしたが、僕たちは全員寝不足したので、ある意味助かりました。

しかも！

西条くん、
「なんと金が出た」

「なんだって～～～～～～！」

なんと交通費と手数料が支給されたと言うのです。
（実は参考人には、拘束時間によってお金が支払われる）

今まで、どんなに駐在所に出頭しようと、お金などもらえたことなどありません。

　ビックリ！

菊池さん、
「よーーし、そいじゃその金でタイのチェンマイでも行ってパァ～～～っとやろうぜぇ」

「そんなには出ねぇだろ」
「バカだな。暴走族」
「チェンマイってどっから出て来た？」
「だいたい菊池さん、仲間じゃねーし」

「えええええ！そりゃねぇだろー？おまいら！どこまでも俺について来るって言ってたじゃん！」

「言ってねーし」
「そんなヤツこの世にいるのか？」
「ニワトリだろ、ニワトリ」

みんな菊池さんのおかげで、ぐっじゃぐっじゃでしたので、極めて冷遇。

では、これでちょっとでも凹むかと言うと、そうではありません。

「なにぃいいいいい？軽自動車の板金はいいのかあ？」

「う・・・・・・」

とたんに弱みを突いて来ました。

「そう言えばそれが残ってた・・・・・」

「わーはははー！へりくだれぇ！あがめたてまつれぇ！」

とたんに図に乗る菊池さん。

「ち・・・・・・・！」
「ぐぅ・・・・・・！」

でしたが、西条くん、
「あ。それ、グロリアの過失責任、認められたから」

「え・・・・・・・・・・」

「だから麻生の賠償責任じゃなくなった」

「あ・・・・・・・・・？」

ということはー

菊池さんと言う人はーーー

さんざん、僕たちの行動をジャマしたあげく、寝不足にさせて、暴走族とケンカさせただけの人ということであり、

「もっぺん言ってみろー、暴走族！」

孝昭くん、早苗さん関連でか、菊池さんを気に入っていないようです。

「まぁまぁ。悪い人じゃないし。アンジェリーナのおかげでマークIIとも会ったわけなんだしさ」

「おおお！理解者！」

「それに浜の暴走族と会わなきゃ、西条の捜査も行き詰まってたわけだし」

「そうだそうだぜぃ！へりくだれぃ！あがめたてまつれぇ！」

すぐ図にのるのだけでも、なんとかしてもらいたいものです。

孝昭くん、
「じゃ、お前、帰りもGTO乗ってけよ」

「え・・・・・・・・！」

「バリバリだぜぃ！」
「コケ～～～～～～～～～」

昼のアンジェリーナも元気です・・・。
車内せまいのに・・・・。


西条くんの情報は、警察から固く口止めされたらしく、それ以上を語りませんでした。
その情報の中には、ゆきさんのお兄さん「ケンイチさん」も含まれていたようです。

唯一、翌日になって、もらされた情報は、

「どうやら暴力詐欺集団らしい」

ということだったのですが。
弥生ちゃんとも、ケンイチさんとも、どこでどう絡んでいるかわからず終いでした。

「おー！詐欺なら負けねぇぜ！」
「そうだ！極悪さじゃこっちが上だ！」
「そうだそうだ！こっちにゃ、全国詐欺学生コンクール優勝候補がいるぜ！」
「なに言ってやがる！世界大会だっていけるぜ！」

えっと～～～。それは誰のことを言っているのでしょうか～？
また「生まれて来てごめんなさい」状態なのでしょうか～？

久保くん、
「まぁまぁ。誰にだってまちがいはあるさぁ」

えっと。なにがまちがっているんでしょうか？
僕が生まれたことでしょうか？
それって慰めととらえていいのでしょうか？

「まぁまぁ。ちっちゃいことと、麻生のチン○は気にすんな！」

でっかいことなんですけど!?


一方で僕には、弥生ちゃんの劇団を復活させる必用がありました。
が、それはある意味で好都合でした。

もし。相手が逮捕とか拘留とかをされていないのであれば。
もし、相手が泳いでいるままなのであれば。

「相手は演劇の会場に現れる」

「そういうもんかあ？」

「必ず」


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