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第3話 俺たちはカメ(3)
学校からあの手この手で金属物を持ち寄った僕たち。
しかし、今回は、同じレーダーが相手でも、自転車で挑戦した『俺たちは風』のパターンとは決定的な違いがありました。
言うまでもなく、徒歩なので「スピード違反は不可能」という一点です。
したがって、僕たちの狙いは、あきらかな「レーダー探知」の阻止であり、そういう意味では、実験であった前回よりかなり悪質である、とも言えます。
が、これも言うまでもなく、そんな意識は、僕たちにはさらさらなく、これによって起きることへの期待感で胸を膨らませておりました。
若いってすばらしい!(か?)
しかしまた、前回の自転車の失敗が尾を引いていたことも確かで、下校時刻を過ぎていたこともあって、20名も集まった前回よりは数名人数を欠きました。
それでも、制服姿の男子高校生(鎧兜の1名を除く)が、ゴロゴロ集まっているさまは、そうとうにうざったく、よく見ても、庭の石を上げた時にうごめくダンゴムシの群れ、といったところ。
これが女子1人でもいてくれれば、とたんに青春なんですから、女子ってのは偉大でした。もちろん、こんな悪行に加担する女子などいるはずもありませんが。
さて。ここまで読まれてなお我々の趣旨のわからない方に、本作戦を説明いたします。少し顔をよせてください。
僕たちが金属物を持ち寄ったのは、レーダーのマイクロ波を反射させるためです。
当然、徒歩である僕たちを測定するわけがありませんから、根本的には金属で「立ちふさがる」ことが重要なポイントとなります。
つまり、車が走って来ると、警察はレーダーを照射するはずなのですが、このタイミングと絶妙に合わせてレーダー前を、実にまったりと通り過ぎる、できればそこで立ち止まり、ひとつくらいパフォーマンスする、といったものでした。
僕たちは、スピード違反はおろか、善良な歩行者(か?)ですから、捕まえられるわけがない、というのが作戦の主立ったところです。
通り過ぎた歩行者は、今度は裏路地を全速力でもどりまして、再度、レーダー前を歩く、という半永久運動を繰り返す予定でした。
今回は人数も少なめなので、2名ひと組で行くことにいたしました。
はじめはシンバルとトロンボーン。
その後方10mほどあけて、次の2名。鎧兜と鎖帷子(体中に鎖を巻いた野郎です)。
さらにその後ろに、僕のスーザホンとタライ少年。
もうどこから見ても善良な音楽パレードです!(か?)
ゆっくりと歩み始めた2名は、レーダーより少し手前で停止。
そこに後ろから車がやってきました。
ここは30キロ制限。まぁ、普通の車はそんな低速では走りませんから、したがって、こいつが捕まらなければ、我々の狙いは当たったことになります。
僕は、スーザホンの超低音ラッパで車の到来を知らせました。
♪ブオ~~~ン
最前列のシンバルたちは、これを察知するととたんに早足でレーダー前にかけよりました!
期待の瞬間!
が
♪ジャラ~~~ン
シンバルのヤツが、いきなりシンバルを高らかにうち鳴らし、露骨にレーダー前で手を広げました。
それはちょうどバンデル星人みたいな状態。

<バンデル星人 『キャプテンウルトラ』より>
「あ‥‥‥‥!馬鹿が‥‥‥‥‥!」
レーダーに反応しようがしまいが、突然道路でシンバルを鳴らす、というのは、相当珍しい行為です。
誰だ?アイツにシンバル持たせたの?
車は?
捕まりませんでした。
どうやらシンバルはレーダーのマイクロ波を防ぐようです。知ってもなんの足しにもならない知識ですが。
しかし、もはやそんなことはどうでもいいことでした。
なにしろ、待機する警察の目前で、シンバル打ち鳴らして手を広げたんですから、はじめっから狙いはバレバレです。
パレードのさわぎではありません。
「ばか!もどれ!」
僕たちは、先頭のシンバル隊に、小声で騒ぎ立てましたが、当然聴こえません。
しかたがないので、またスーザホンです。
街中でスーザホンの低音だけが鳴り響く、というのも相当に奇妙ですがやむをえません。
♪ブオ、ブオ、ブオ~
さすがにこれには気づきました。
手招きで戻ることをうながす後発隊。
作戦は馬鹿ひとりのために急遽中止です。
大慌てで戻って来るシンバルたち・・・・・。
の、向こうから、もうひとり全速力で走って来る人影が見えました。
駐在さんです。
やべ~~〜。
第4話へつづく・・・・。
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学校からあの手この手で金属物を持ち寄った僕たち。
しかし、今回は、同じレーダーが相手でも、自転車で挑戦した『俺たちは風』のパターンとは決定的な違いがありました。
言うまでもなく、徒歩なので「スピード違反は不可能」という一点です。
したがって、僕たちの狙いは、あきらかな「レーダー探知」の阻止であり、そういう意味では、実験であった前回よりかなり悪質である、とも言えます。
が、これも言うまでもなく、そんな意識は、僕たちにはさらさらなく、これによって起きることへの期待感で胸を膨らませておりました。
若いってすばらしい!(か?)
しかしまた、前回の自転車の失敗が尾を引いていたことも確かで、下校時刻を過ぎていたこともあって、20名も集まった前回よりは数名人数を欠きました。
それでも、制服姿の男子高校生(鎧兜の1名を除く)が、ゴロゴロ集まっているさまは、そうとうにうざったく、よく見ても、庭の石を上げた時にうごめくダンゴムシの群れ、といったところ。
これが女子1人でもいてくれれば、とたんに青春なんですから、女子ってのは偉大でした。もちろん、こんな悪行に加担する女子などいるはずもありませんが。
さて。ここまで読まれてなお我々の趣旨のわからない方に、本作戦を説明いたします。少し顔をよせてください。
僕たちが金属物を持ち寄ったのは、レーダーのマイクロ波を反射させるためです。
当然、徒歩である僕たちを測定するわけがありませんから、根本的には金属で「立ちふさがる」ことが重要なポイントとなります。
つまり、車が走って来ると、警察はレーダーを照射するはずなのですが、このタイミングと絶妙に合わせてレーダー前を、実にまったりと通り過ぎる、できればそこで立ち止まり、ひとつくらいパフォーマンスする、といったものでした。
僕たちは、スピード違反はおろか、善良な歩行者(か?)ですから、捕まえられるわけがない、というのが作戦の主立ったところです。
通り過ぎた歩行者は、今度は裏路地を全速力でもどりまして、再度、レーダー前を歩く、という半永久運動を繰り返す予定でした。
今回は人数も少なめなので、2名ひと組で行くことにいたしました。
はじめはシンバルとトロンボーン。
その後方10mほどあけて、次の2名。鎧兜と鎖帷子(体中に鎖を巻いた野郎です)。
さらにその後ろに、僕のスーザホンとタライ少年。
もうどこから見ても善良な音楽パレードです!(か?)
ゆっくりと歩み始めた2名は、レーダーより少し手前で停止。
そこに後ろから車がやってきました。
ここは30キロ制限。まぁ、普通の車はそんな低速では走りませんから、したがって、こいつが捕まらなければ、我々の狙いは当たったことになります。
僕は、スーザホンの超低音ラッパで車の到来を知らせました。
♪ブオ~~~ン
最前列のシンバルたちは、これを察知するととたんに早足でレーダー前にかけよりました!
期待の瞬間!
が
♪ジャラ~~~ン
シンバルのヤツが、いきなりシンバルを高らかにうち鳴らし、露骨にレーダー前で手を広げました。
それはちょうどバンデル星人みたいな状態。

<バンデル星人 『キャプテンウルトラ』より>
「あ‥‥‥‥!馬鹿が‥‥‥‥‥!」
レーダーに反応しようがしまいが、突然道路でシンバルを鳴らす、というのは、相当珍しい行為です。
誰だ?アイツにシンバル持たせたの?
車は?
捕まりませんでした。
どうやらシンバルはレーダーのマイクロ波を防ぐようです。知ってもなんの足しにもならない知識ですが。
しかし、もはやそんなことはどうでもいいことでした。
なにしろ、待機する警察の目前で、シンバル打ち鳴らして手を広げたんですから、はじめっから狙いはバレバレです。
パレードのさわぎではありません。
「ばか!もどれ!」
僕たちは、先頭のシンバル隊に、小声で騒ぎ立てましたが、当然聴こえません。
しかたがないので、またスーザホンです。
街中でスーザホンの低音だけが鳴り響く、というのも相当に奇妙ですがやむをえません。
♪ブオ、ブオ、ブオ~
さすがにこれには気づきました。
手招きで戻ることをうながす後発隊。
作戦は馬鹿ひとりのために急遽中止です。
大慌てで戻って来るシンバルたち・・・・・。
の、向こうから、もうひとり全速力で走って来る人影が見えました。
駐在さんです。
やべ~~〜。
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米荒し疑惑にもメゲズにカキコ(*ノノ)キャ
アタシもイタズラ参加したかった…
バスーーンでwww
そうですよね。「徒歩」を「疾走」に変えても、スピード違反は無理ですよね。
金属を持ったのはレーダー妨害だったのですね。
1組目で撃沈か?
作戦内容を勘違いしていました。私って邪魔者ですね。本当にスイマセン。
・・・でも読みたい!(反省の色なし!)
面白すぎ
最新がupされるまで、読み直し、コメもよんで、楽しんでますよ。
くろわっさんが、再チェックされてるのは、すごい!
おもしろいです。
ぼくちゅう、もう 生活の一部です。
アップを待ちきれず、また最初から復讐中。
♪ ブオー、ブオー、ブオー ♪ って……
ぷぷっ!
思わず吹き出してしまった。
ここまで奇想天外なシチュエーションは、そうそうないですよね。
完全になめきった挑発行為と言ったところでしょうか?
色々な金属物を身にまとった人達が結集しているシーンは、想像するだけで独特かつ強烈なやばさを感じます。
私もお笑い系のブログをやらせていただいているのですが、かなり参考にさせていただいていますよ。
参考にさせていただいた結果が、
「女性専用車両」ならぬ「おネエ専用車両」や、
「3の倍数と3がつく数字のときだけ爆発する爆弾」など。
てっきりレーダーの前を金属をまとったまま走りきるのかと勘違いしていて分からなかったのですが、これはかなりつぼにはまります。
読み返し3度目です♪
3度目はコメまで全部読んでみたりして~!!
くろわっさんはスーザホンまで出来るんですね!確か金管楽器って初心者には音すら出せないはず…。
やるな…♪
善良な一般市民らしい行動ですね(笑)
バンデル星人・・・なつかしいものが出てきたものだww
シンバル買ってみようかな
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おもしろすぎです!!
こんなに笑ったの、ひさしぶり
水曜日に映画が放送されるそうなので、
絶対見ます!
色付きの文字うける♪
せっかく、ママチャリさんが、考えてくれた作戦(イタズラ)を、たった一人の馬鹿な行動で全部ダメになってしまい、おまけに、駐在(呼び捨て)に追いかけられ、鎧兜を着ていた人は走るわけですから、さぞかしつかれたでしゅう。じゃ、サヨウナラ
妨害だけなら金属必要ないだろ
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相当珍しい行為ww
さいこーです
駐在さんの全力疾走・・・
恐い
すごく恐い
自分は米してないけどめざまし見てから本文+米欄を読破しながら追いかけてたから米欄含めて懐かしいです(°▽°)
るみちょんは…この時からるみちょんだな………(笑)